The Scent Of A Camel Lights
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あの、忘れられない夜のこと・・・Ⅰ
ちょうど一年前に この道を通った夜
昨日の事のように 今はっきりと思い出す──


平成十七年五月二十七日、午後七時十分。


おそらく、これから一生忘れることの出来ない日付だろう。

もう一年が経つ。

そろそろ、話してもいい頃だろう。



あれは、年明けに職場が変わって間もなく半年が経とうとしていた、少し暖かくなってきた晴れた日の夜だった。

数週間前から出勤時刻が早まり、疲れが溜まって一日中眠気が付きまとっていた時。

仕事を終えて風呂に入った後、マーチのエンジンを暖めながらオーディオをつけてジュースを飲み終えた。
相変わらず眠気が取れず、アタマはぼやけていた。
いつものように左にウインカーを出し、クラッチを繋ぐ。
走り馴れた道を、いつものように通る。
僅か一キロ程走った所を右折すると、近道がある。そこには数台のクルマが右折待ちをしている。列が動き始める。
ちょうど、少し減速をすれば流れに乗って曲がれそうだった。
右に合図を出し、ブレーキング。
ステアリングを切り、クルマを曲げ始めた時。


左側の視野に何か見えた。


・・・・


シートベルトが締まる
アタマが揺れる
右半身に衝撃



目を開ける―

油圧計が、油圧ゼロの警告音を発している。エンジン音のしない車内で、ニルヴァーナが流れていた。

エンスト?何で…
そうだ、今……

振り向くと、路肩に停まったクルマから男が降りてくる。

「何やってンだコラァ!」

そう叫んでいた。

どうやら前車に続いて交差点に入ったはいいが、信号の無い所に直進してきた対向車と衝突したらしい。

こちらの被害、左前の損壊とタイロッド折損で自走不能。
相手のクルマを見ると、前面が潰れて原型がわからなくなっていた。
中に、奥さんらしき人と小型の犬が乗っていた。
幸いにも、互いに怪我はしていないようで助かった。

半ばパニック状態の中、すぐに110番通報をする。会社と、自宅にも電話をする。
携帯のバッテリー残量が少ないのが心細く、連絡手段が無くなる事が不安で余計に混乱する。
現場は会社から目と鼻の先の距離だったので、一番先に上司が駆けつけてくれた。
いつも迷惑ばかりかけて、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

────警察が到着。
現場検証、本人確認、調書の作成・・・事務的なことが淡々と行われる中でも、頭の中はちっとも落ち着かずにただただ慌てていた。

両親が到着。少し、落ち着き始めたかな。
その時、警察官が言う。
「クルマ、動かせないかな?」
立ち往生したマーチが道を塞いでいるのでなんとかどかせないものかということだ。

上司が電話をする。

しばらくして、見慣れた会社のクルマが来た。
中から出てきたのは、入社して一番初めに配属になった工場の先輩達。確か5人くらい、仕事そっちのけで飛んできてくれた・・・

その時初めて涙が出てきた。
こんな俺でも、力を貸してくれるんだと思って。
みんなでクルマを持ち上げて、移動する。なんと心強い人達なんだろう・・・この時が、今までで一番感謝した瞬間だったと思う。

「大丈夫、すぐクルマも直るからヨ、安心しな」って言ってくれた。
そうですね、FDを三回潰したMさん、貴方が言うと説得力がありすぎです。

そんなとき、大丈夫を連呼していた相手の奥さん、Sさんが少し気分が悪いと言い出した。

妊娠6ヶ月だと、そう言って───

救急車がやってきた。

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